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「なんで呼んでくれないの!」

この一連の出来事を渡邊さんに話したら、そう言って怒られた。
がっしりと肩を掴まれてガクガクと揺さぶられる。

「その為のケータイだよ!怖いって思ったら俺を呼んで!ちぃちゃんを護らせて!頼ってよ!」

いや、違う。
心配、されたんだ。
ぎゅうぎゅうと抱きついてくる熱に、じんわりと目尻に熱が溜まる。
誰かに心配してもらえるなんて、初めてだった。

「うん………ごめんね、渡邊さん。ありがとう。」

次が無いのが一番いいけどもし次があったらそうするねと約束して、渡邊さんの大きな背中を撫でる。
ぐすぐすと鼻を鳴らしながら首筋に顔を懐かせるのが、俺の【飼い主】な筈なのになんだか大きなわんこみたいで可愛い。

「ちぃちゃんに何かあったら、俺死んじゃう。」

大袈裟だなと思った。
けれど、もしもそれが本当のことならば幸せな事だなとも思った。
渡邊さんが好きだ。
これが恋なのかそれとも依存なのかは分からないけれど、誰にも奪われたくない程度には、好きだった。



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